クレイドル・ウィル・ロック 奇跡の一夜〜「自分に正直」はブラボ-

1930年代のニューヨークの実話。大恐慌。、経済が大混乱を起こし、当時のアメリカは、すべてが大混乱に陥った。生活が出来ないって、状況がシンドイのは、歴史について詳しくなくても、身に染みてわかるのだ。仕事がない。でも生きていかなきゃ。そんな状況。

監督のティム・ロビンスは、あの、「ショーシャンクの空に」ティム・ロビンス「CODE64」」ティム・ロビンススーザン・サランドンとご夫婦で、「デッドマン・ウォーキング」も監督なさっている。
俳優さんの監督としては、イーストウッド監督の貫禄勝ちなのだろうが、ショーン・ペンティム・ロビンスこのお二方の監督業も、怖ろしいほどに、スゴイ。才能というのはスゴイのである。まず、映画の内容の前に、その驚嘆、つ〜か、驚く、つーから、スゲーっていうか、そういう部分を書かせてくださいませ。

で、映画はエミリ・ワトソンのオリーブが、劇中劇ともども、主役だが、彼女が主役というわけじゃない。マチガイなく群像劇。それも、めっちゃ、駆け足。
芸達者で、華があって、絢爛たる役者さんたちが、入れ替わり、立ち替わり、ロックフェラーなどの有名人も踏まえて出てくるの。何をしているというわけじゃないのね、ただ、もう、役者のオーケストラ。てんで、バラバラに演じているようで、交響楽な感じがする、誰かかが、ドの台詞を話せば、誰がが、ラを。或いは繰り返し、在るいは、転調。クラシックは眠くなるので、それで、眠くなりがちの作品ではある。ただ、それが、バラバラじゃなくて、リズムが聞こえてくるのは、監督の手腕や、役者たちの良さ、などなど、なのは確かだと思うの。

よって、素晴らしいクラシック音楽が、合わない方は眠りやすい作品だろな、と思ったりする。素晴らしい芸術性がゆえに、エンタメとつながらない。

それでもね、この作品のメッセージの熱さったら!!!!

「資本家」という存在と、「共産主義」という考え方があるの。
そのどっちもが、「ゆりかごは揺れる」っていう演劇の上演を邪魔する。労働組合を題材にした舞台ってね、題材を資本家が嫌い、資本家が用意した舞台という仕事場で、仕事をするのを「組合」が嫌う。なんか、腹立ってくる、図式。でも、明日、上演しようとする、役者たちの気持ちを収まらない。
彼らはそんなこと、おかまいなし。
自分たちの舞台を演じたい。つまり、それが芸術ね。
でも、舞台人たちにも、「組合」があって、仕事の合間の休憩が義務づけられる。でも、稽古が進んでのめりこんでいると、休憩、なんて、ホントは関係ないだろ、っていう役者もいる。
もちろん、資本家は、すべての芸術は金で買える、と思っている。
金で買えない芸術は世に出ない。新聞王ハーストもそんなこと、言っていた。
芸術は宣伝になり、戦争の資金になる。

けれども、上演したい役者たちの気持ちと、舞台を観たい観衆の気持ちは、止められない。
ラスト、30分、のめり込めずにはいられない、「ゆりかごは揺れる」の上演シーン。
観衆に紛れていた役者達が、自分を止められず、舞台に上がる。衣装なんて、着ていない。でも、役を演じる。観衆の中から、民衆の中から、立ち上がるように。

売れない役者が、物語のキーパーソンを演じている。彼は、その舞台を家族で見に来ていた。家族のために、出演を諦めて彼は、立ち上がり演じている。その父親の姿を子供たちは憧れと敬意を持って見つめている。

クレイドル・ウィル・ロック

権力のゆりかごは揺れる。主義主張に汲みしない人の奥底の気持ち。自分に正直な人々の気持ちに胸が熱くなる。

って、感動的な締めくくりにしておきながら、役者さんチェック。
ジョン・キューザックジョーン・キューザック、やはりお顔が似てました。ジャック・ブラックも出ておりました。ジャック・ブラックが演じる、腹話術の人形に扮装している姿は、なかなか!ジョン・タートゥーロは、歌が案外うまかった。ビル・マーレイは、芸達者!


■Staff
監督:ティム・ロビンス Tim Robbins
製作:ジョン・キリク Jon Kilik
   リディア・ディーン・ピルチャー Lydia Dean Pilcher
   ティム・ロビンス Tim Robbins
脚本:ティム・ロビンス Tim Robbins
撮影:ジャン=イヴ・エスコフィエ Jean-Yves Escoffier
音楽:デヴィッド・ロビンス David Robbins
 
■Cast
エミリー・ワトソン Emily Watson
ハンク・アザリア Hank Azaria
スーザン・サランドン Susan Sarandon
ジョン・キューザック John Cusack
ジョーン・キューザック Joan Cusack
ビル・マーレイ Bill Murray
ケイリー・エルウィズ Cary Elwes
アンガス・マクファーデン Angus MacFadyen
ルーベン・ブラデズ Ruben Blades
ヴァネッサ・レッドグレーヴ Vanessa Redgrave
ジョン・タートゥーロ John Turturro
チェリー・ジョーンズ Cherry Jones
フィリップ・ベイカー・ホール Philip Baker Hall
ギル・ロビンス Gil Robbins